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製品情報

Calman導入事例【株式会社ナックイメージテクノロジー 様】

 



 
 
株式会社ナックイメージテクノロジー(代表 中島 聖司/東京都港区北青山)は産学官の研究開発分野へ向けた映像計測機器の開発・製造・販売、映画・コマーシャル・テレビ業界へ向けた映像制作機器の販売とレンタルを柱とし事業を展開している。同社のレンタル部門であるナックレンタル(東京都港区赤坂)は、デジタルシネマカメラ、35mmフィルムカメラ、ハイスピードカメラ、PLレンズやENGレンズやモニター等のレンタル機材の提供を通じて、映像制作業界における信頼性の高いパートナーとしての地位を確立している。

今回、同社では撮影現場でのモニターの色管理の課題に対応するため、Portrait Displays社のCalman Studioシステムを導入。現場での色の統一性を確保し、制作スタッフ間の共通認識を形成することで、映像制作の品質向上と効率化を実現している。今回の取材では、同部門で統括マネージャーを務める金丸氏に、色管理の課題とその解決策として導入された「Calman Studio」について話を伺った。


■金丸 知人 氏
株式会社ナックイメージテクノロジー  統括マネージャー/営業本部/レンタル部
レンタル部の統括マネージャーとして、部署全体の運営から技術的な選定・品質管理までを幅広く担当している。
 


▶モニターごとの色の違いが、制作現場の課題に

金丸氏:「ここ数年、現場から“モニターの色がバラバラで困っている”という声を頻繁にいただくようになりました。」

主軸であったソニーPVM-A170の販売終了に伴いSmall HD等の他機種の導入が進む中で、「モニターによって色が違う」といった声が増加。マニュアルでの画質調整では限界があり、早急な対策が求められていた。

モニターの色の統一は、単なる見た目の問題ではない。ポストプロダクションでのカラーグレーディングとの整合性、監督・スタッフ間の共通認識の形成など、映像制作全体の色彩精度に直結する重要な要素だ。こうした背景から、色彩基準の明確化と再現性の高いモニター調整を実現するために、ナックレンタルはCalman Studioの導入を決断した。

▶Calmanで統一的なモニターキャリブレーションを実施

ナックレンタルでは、レンタル出荷前のSmall HDモニターをすべてCalman Studioによるキャリブレーションする運用を構築した。Calman StudioにはSmall HD専用ワークフローが用意されているが、Ethernetポートの無い小型機種に対応出来る3DLUTワークフローも併用する。

■SMALL HDキャリブレーション・ワークフロー


■3DLUTキャリブレーション・ワークフロー


 
■ブロードキャストモニター・ワークフロー


金丸氏:「機種ごとの明るさやカラーバランスに差があるため、マニュアルによる一律の画質調整では統一感が出ません。Calman Studioを使えば直感的なGUIインターフェースを備えたワークフローにより経験に頼らず、誰でも正確なキャリブレーションが可能になります。今後は社内スタッフにもノウハウを共有していきたいと考えています」




 
 
▶現場内の共通認識が生まれ、技術への信頼が向上

Calman Studioの導入により、レンタル出荷前のモニターが一定の画基準で調整されるようになったことで、現場での「色の見え方」に対する共通認識が形成されるようになった。異なるスタッフが異なる場所で同じ映像を確認する場合でも、色彩に対する食い違いが少なくなり、意思疎通がスムーズになっているという。

金丸氏:「以前は、見るモニターによって“正しい色”の認識が人によって異なることがあった。今では『このモニターなら大丈夫』と共通の基準ができたことで、現場内でのやりとりが格段にしやすくなった」

また、キャリブレーション済みの状態でレンタル機材を納品していることを伝えることで、クライアントや制作側からの信頼も高まっている。単にレンタルするだけでなく、映像制作を支える「技術的な安心感」を提供することが、同社のサービス価値の一部となっているという。
 


▶現場の安心を支える色管理体制を、業界全体のスタンダードへ

ナックレンタルでは今後、Calmanの運用ノウハウを社内で共有し、複数のスタッフがキャリブレーション作業に対応できる体制づくりを進めていくという。さらに、高輝度モニターをはじめとする新機種への対応も視野に入れ、調整方法の標準化にも取り組んでいる。
 


金丸氏:「現場で“色が違う”という問題が起きないようにすることが、すべての関係者にとってのストレス軽減につながります。撮影のしやすさや、映像に対する信頼性を担保するうえでも、CalmanStudioを活用した色管理体制を今後さらに強化していきたいと考えています」と金丸氏は語る。

加えて、キャリブレーションを通じて現場に届ける“技術的な安心感”も、ナックレンタルならではの提供価値だと捉えている。

金丸氏:「機材の貸し出しだけでなく、キャリブレーションを通じて“安心して使える状態”で現場に届けたい。そういう技術的な安心感も、私たちの提供価値のひとつだと思っています」
 
Calman Studioは、モニターの色を正確に調整するだけでなく、現場とポストプロダクション、さらにはクライアントとの間に「共通の見え方」という安心感をもたらす。
 制作側とクライアント側が“同じ映像を、同じように見て判断できる”という共通認識は、映像制作のすべての工程をスムーズにし、ひいては作品そのものの完成度にも直結する。

ナックレンタルの取り組みが、色の統一という技術的な課題を超え、業界全体に「見ることの基準」を広げていくきっかけとなることを期待している。

 


取材&レポート:アイクローバー 佐々木
取材日:2025年4月末